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ランチェスター戦略とは?

NPOランチェスター協会理事 名和田 竜
公開日  最終更新日2018/03/31

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Relation-Stage 代表
NPOランチェスター協会理事 副研修部長 ランチェスター戦略学会幹事
相模女子大学 非常勤講師
マーケティング、フレームワークを考えるときに飲むコーヒー
ランチェスター戦略とは?
ペン 仕事で使うパソコン

日本発のマーケティング戦略、「競争戦略・販売戦略のバイブル」といわれるランチェスター戦略。

名前だけは知っている。何となく聞いたことがある。知ってるけどよくわかってない・・・

まさに知る人ぞ知る「ランチェスター戦略」。
一体、ランチェスター戦略とはどのようなマーケティング戦略なのか。
その辺りから解説していきましょう。

古くは、トヨタ・花王・パナソニック・日本生命・武田薬品・アシックス・アサヒビール・ふじっこ・ブリジストン・ユニチャーム・ソフトバンク・HIS・・・
など、現在の日本を代表する多くの大手企業が導入し、成果を挙げててきた歴史があります。

また、大手企業に限らず、街の家電店や地場スーパー・学習塾・会計事務所といった中小零細企業、あるいは、
士業やライフプランナーを始め個人で営業活動される方に至るまで幅広く取り入れられ、その成果を挙げています。

大手企業から小さな会社まで、全てに適用できる戦略?!
本当にそんな使い勝手の良い戦略があるのか?
非常に気になりますよね?

ただ、事実として多くの実例があるので、これは「ある!」としか言いようがありません。

ランチェスター戦略を簡単に説明すると、原理原則に基づいた、合理的でわかりやすい、数値目標のある、実務体系化されたビジネス戦略、あるいはマーケティング戦略という風に表現できます。
また、日本発ということと多くの企業が導入してきたことから、コンサルタントやマーケッターが多かれ少なかれ、この理論の影響を受けていると言われています。

ランチェスター戦略の特徴を簡単にあげるなら以下の通りでしょう。

1.全体よりも部分にフォーカスした市場でまずは「NO.1」を目指す
2.市場シェアを重要視し、その為の具体的な判断基準値と戦い方がある
3.弱者・強者の戦略を明確にし、その取り組み方も体系化されている


さて、この様な特徴を持つランチェスター戦略は、一体どの様にして生まれたのか?
まずは、その成り立ち。ここからお話して参りましょう。

ランチェスター戦略の生まれた背景

そもそも「ランチェスター戦略」は、日本経済が高度成長から低成長へ移行し、販売競争が格段に激しくなった時代の転換期である、1972年に経営コンサルタントだった、故・田岡信夫先生が、体系化させた戦略理論です。
その原点は、「ランチェスター法則」、「ランチェスター戦略モデル式」といった軍事戦略論にあります。

※ちなみに「ランチェスター戦略」そのものは、軍事理論ではありません。したがって、「ランチェスター戦略」という軍事における戦略は存在しませんので、誤解のないように。

それでは、その原点となる「ランチェスター法則」、「ランチェスター戦略モデル式(クープマンモデル)」についてご説明しておきましょう。

ランチェスター戦略の原点:「ランチェスター法則」とは?

「ランチェスター法則」とは、第1次世界大戦のころ、イギリス人のエンジニア、F・W・ランチェスター氏(1868~1946年)が発見した戦争理論です。
F・Wランチェスター氏は、英国初のガソリン自動車を開発したことでも知られている人物ですが、こちらの方が英国ではむしろ広く知られているようですね。
さて、F・Wランチェスターは、当時戦闘機の開発に従事していましたが、戦闘機が実戦においてどのような成果を収めたかに強い関心を持ち、戦闘の勝ち負けの研究を開始します。
各地の戦闘の資料を集め、そしてある法則性を発見します。

ランチェスター戦略の由来はF・W・ランチェスター

その法則とは、「戦いにおいては、兵力の数と武器の性能が、互いの戦闘力を決定づけてしまう」というモノです。

どういうことか? もう少し詳しく説明しましょう。

例えば、AというチームとBというチームが戦ったとしましょう。
勝つのはどちらか?

当然勝つのは強い方。
すなわち、戦闘力の高いチームとなりますよね?

何を当たり前のことを・・・・と思うかも知れませんが、これが勝ち負けの原理です。
では、戦闘力とは、何によって決まるのか?

戦闘力を構成する要素は、大きく2つ!
「武器の性能」と「兵力の数」

この2つによって決まるということ。

F・Wランチェスター氏は、「武器の性能」と「兵力の数」という2つの関係性を統計的に分析し、「兵力数と武器の性能が戦闘力を決定付ける」と結論付けたわけです。
これを言いかえると、「戦闘力は、武器の性能と兵力数で決まる」ということですね。

その後、F・Wランチェスターは、1916年「戦争における航空機 AIRCRAFT in WARFARE」でこの法則を発表し、世に普及していきます。
これが「戦闘における勝ち負けのルール」すなわち、「ランチェスター法則」といわれるものです。
但し、この法則は、実は2つのルールで成り立ちますが、それはまた後ほど説明しましょう。

ランンチェスター戦略モデル式(クープマンモデル)

その後、「ランチェスター法則」は、第二次世界大戦時にアメリカの海軍作戦研究班によってさらに研究が深堀りされていきます。
そこに徴用されたコロンビア大学の数学教授バーナード.O.クープマン氏は、この法則を軍事シミュレーションモデル「ランチェスター戦略モデル式」(=クープマンモデル/ランチェスター戦略方程式)として発展させます。
「ランチェスター戦略モデル式」では、戦闘は長引くと兵力や武器の補給、兵力の訓練や武器の生産という要因が発生することを考慮しなくてはならないと考え、「戦力」を以下の式で表しました。

「戦力」=「戦術力」+「戦略力」+「生産・補給」


「戦術力」とは、敵からの攻撃に対する防衛並びに戦場においての直接に発揮される「戦力」を指します。
いってみれば、敵と直接戦闘する力ですね。

また、「戦略力」とは、敵の「生産・補給力」を破壊する能力を指します。
確かに短期決戦では、さほど重要視する必要はないかも知れませんが、戦闘が長引けば絶対に外せない要素となってきますよね。

クープマンらは、これらの考え方から、直接的戦闘力である「戦術力」と間接的な戦闘力である「戦略力」を分けて考え、その比率を「戦術力1:戦略力2」にする時、最も戦闘力が高まることを方程式で示しました。ここに「ランチェスター戦略モデル式」が誕生します。

奇しくも、実際に日本との戦争において使われることで、証明される形となりました。
また、これらの軍事研究の成果は、戦後、数学的・統計的な意思決定の方法OR(オペレーションズ・リサーチ)として、産業界にも応用され、今日の経営戦略の源流の1つとなっています。

「競争戦略・販売戦略のバイブル:ランチェスター戦略へ」

この「ランチェスター法則」「ランチェスター戦略モデル式」などの理論は、戦後日本において、コンサルタントの草分け的存在であった故田岡信夫氏(1927~1984年)によって、「企業間の販売競争に勝つための理論」として研究され、再構築されていきます。
田岡先生は、「ランチェスター法則」から戦略の基本的な考え方を学び取り、「ランチェスター戦略モデル式」から、市場シェア理論を導き出すなどして、「田岡式販売戦略」すなわち、「ランチェスター戦略」として実務体系化させました。
つまり、ランチェスター戦略とは、田岡信夫先生が体系付けた競争戦略・販売戦略(=マーケティン戦略)というわけですね。

さて、ランチェスター戦略では、弱者には弱者の戦い方があり、強者には強者の戦い方がある。
そしてその判断基準は市場シェアにあるといってます。

では、市場シェアを判断基準にするとはどういうことなのか?
もっというと、シェアは何%とると勝てるのか?
また、競合との差はどの程度つければ安定するのか?

実はここにも明確な答えを示しています。

「73.9% 上限目標値」、「41.7% 安定目標値」、「26.1% 下限目標値」

ランチェスター戦略における1位のシェアポイント
これは、故田岡信夫先生と当時ビジネスパートナーであった、社会統計計学者の斧田太公望先生によって導き出された市場シェア3大目標数値といわれるものです。

これらのシェアの持つ意味はまた後ほど詳しく解説していきますが、押さえておいて頂きたいのは、ランチェスター戦略は、こうしたシェアに対する考え方を具体的な数値に置き換えた世界で唯一のシェア理論でもあるということです。

そして、この戦略理論は、1972年に「ランチェスター販売戦略」(田岡信夫著)として出版され、世に広がっていきました。
当時の日本は高度成長期が終わりを告げた低成長時代という時代背景もあり、広く受け入れられるところとなりました。

イギリスにその原点があり、アメリカで掘り下げられ、日本でマーケティング戦略として体系化された・・・・それが日本が誇るビジネス戦略のバイブルといわれる所以です。


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