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「弱者」・「強者」5つの視点による戦い方(5大戦法)と事例

NPOランチェスター協会理事 名和田 竜
公開日 

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Relation-Stage 代表
NPOランチェスター協会理事 副研修部長 ランチェスター戦略学会幹事
相模女子大学 非常勤講師
マーケティング、フレームワークを考えるときに飲むコーヒー
ペン 仕事で使うパソコン

ここでは、「弱者」「強者」の各論となる具体的な戦い方について観ていくことにしましょう。

まず戦い方についてですが、「弱者」「強者」ではその基本となる戦略や戦術は、180度異なるといいました。

「弱者」であればその基本となる戦略は「差別化戦略」であり、「強者」であれば「ミート戦略(同質化・模倣)」であるということもお話しました。
では、それぞれ具体的には、どのような視点が必要となるのか?

その戦略を実戦(践)する為の戦い方をそれぞれ示した5つの視点(5大戦法)について解説します。

弱者の個別戦略5つの視点(5大戦法)

まずは、「弱者」が取るべき「差別化戦略」を実践するための5つの視点から観ていきましょう。

<視点その1>「局地戦」

「局地戦」とは、市場(事業領域や客層)や地域(エリア)を限定して戦うことを意味します。
弱者であれば、まずは市場やエリアを徹底的に絞りこむことから始めていきます。
市場は絞れば絞るほど、その実態が明確になります。
モノが売れるために必要な条件は、たった2つと言われています。
その1つは、顧客のニーズに適合している商品やサービスであること。
もう1つは、競争優位性を構築できていること。

これはあくまでも原則では有りますが、この2つの条件が整えば、基本的にはモノやサービスは売れていきます。
この2つの条件を整えるには、顧客の実態を具体的に掴み、競合の戦略も知っておく必要があります。
但し、これが広い市場や領域だとどうでしょう。

顧客の実態を掴もうにも、そのニーズは多種多様となり、そこでプレーする競合も多数存在する形となるでしょう。
とてもじゃありませんが弱者にとっては、対応し切れません。
ところが、市場を絞り込めばどうでしょう?
顧客の声、顔、競合の戦略、商品・サービスなどもより具体的になってくるでしょう。
つまり、顧客ニーズも競争優位性もハッキリと見えてきます。
まずは、市場を「絞る」ことを徹底して行きましょう。

<視点その2>「一騎討ち戦」

「一騎討ち戦」とは、極力競合の少ない状況で戦いうことを意味します。
出来れば1対1に持ち込める局面(市場)を選定することです。
競合が1社であれば差別化も容易となります。また、選択する側の顧客から見ても、一社だけの取引では心許ないと思うものです。1社独占状況の市場やクライアント先はある意味チャンスなわけです。皆さんも何かモノを購入する際は、最低2つは選択肢が欲しいのではないでしょうか?
顧客も選択肢は欲しいものです。新規顧客の開拓などは、その部分を突き、1社とどっぷりといった先に敢えてアプローチしていくこともやり方の1つです。
逆に競合が多すぎる場合は確率戦に引き込まれ、やはり弱者にとっては不利となることも合わせて覚えておいて下さい。皆さんも選択肢が多すぎる場合は、知名度や価格が購入の決定要因になることが多いのではないえしょうか?
弱者は極力1対1の状況荷に持ち込める局面(市場)を選びましょう。

<視点その3>「接近戦」

「接近戦」とは、顧客・エンドユーザーへの接近や流通などへの接近を意味します。
つまり、顧客との距離を縮め、その関係性を強化していくことです。
弱者であれば代理店や卸などに頼るのではなく、まずは自力で力を付けて置くことが求められます。
ビジネスを成功させるカギは、エンドユーザーに対しどの程度直接接点をもっておけるか?
これによって大きく左右されるといっても過言では有りません。
直接接点を持っておくメリットとして、まずは、ダイレクトに顧客の声が入って来るということがあげられます。これは非常に大きな情報源であり、会社にとっての宝といえるでしょう。

直接顧客との信頼関係を構築できれば、ちょっとやそっとでは顧客は離れていきません。
現在、小さくても繁盛店といわれるお店などは、皆この顧客接近戦に成功しているといえるでしょう。
また、弱者と言う立場の場合、その価値は中々他人(卸や代理店)には伝わらないものです。
基本的には、間接販売の営業は売りやすいものを売るものです。
売りやすいとは、ブランド力や知名度、価格、代理店などは利益率の高いものなどが優先されるということを覚えておきましょう。実績が無い弱者の商品は残念ながら確率的には低くなるのは致し方ないこと。重々理解しておきましょう。

<視点その4>「一点集中戦」

「一点集中」とは、ランチェスター戦略の基本コンセプトともいえる大変重要な考え方の1つです。弱者であれば、あれこれ手を広げず、まずは1つのことに(市場・領域・商品・顧客・地域など)集中するということです。
ただでさえ、リソース(資源)が乏しい弱者が、あれこれリソースを分散してしまっては、それこそあぶはち取らずとなってしまいます。
したがって、1つの領域に集中するとは、当然投入する資源も1点に集中することを意味します。
小さな領域に絞るもう1つの意味は、この資源の一点集中により、量を高めるということでもあります。

<視点その5>「陽動戦」

「陽動戦」とは、いってみればゲリラ戦を意味します。
これは弱者ならでは出来ること。弱者だからこそ出来るかく乱戦を意味します。
あるいは、強者には気付かれないように水面下で営業やプロモーションを仕掛けるのも、この陽導戦に入ります。
わかりにくいので、例を挙げさせて頂くと、古くはビックカメラ、最近では栄養ドリンクのレッドブルなどが挙げられます。
今でこそビックカメラは全国区の家電量販店となりましたが、高崎から池袋に進出してきた1970年代当時はやはり弱者でした。後発ということも有り、ヨドバシカメラやさくらやには遅れをとっていました。
彼らは集客策の一環として、テレビCMのような広告宣伝や折り込み広告よりも、自らの足で直接見込客が居住する池袋から1時間圏内にあるニューベットタウン高島平のマンモス団地にアプローチすることを実践していきます。
具体的には、閉店後従業員が全員でその団地へチラシをポスティングしにいくということを繰り返しました。これが功を奏し、顧客を急拡大していったといいます。
まさに一点集中のゲリラ戦術です。
強者はこんな非効率なことは、まずやらないといっていいでしょう。

以上が、弱者の個別戦略における5つの視点となります。
次に強者の5つの視点について解説していきたいと思います。

強者の個別戦略5つの視点(5大戦法)

<視点その1>「広域戦」

弱者であれば「局地戦」で戦うことが定石でしたが、強者であればこれは「広域戦」が定石に変わります。
広域戦とは、対象とする市場、領域を広く、大きく展開することを意味します。
地域であれば、県全体やその地方全体、あるいは全国を対象にビジネス範囲を広げていきます。また、地域に関係ないビジネスをやられているのであれば、事業領域を広げ全面展開していきます。
強者は、資金力もネームバリューあり、ブランド力・信頼力もあります。
この立場であれば、全面展開をしていくことが可能となります。
このように、強者は大きな市場で大きなシェアを狙うことが可能であり、逆に言えば、そこを取っていかねば機会ロスは勿論のこと、ビジネスの成長も止まってしまうでしょう。

<視点その2>「確率戦」

弱者の「一騎討ち戦」に対し、強者は「確率戦」で挑みます。
競合数の多い確率戦というのは、総合力がものを言います。
例えば、強者の商品が競合と立ち並んだ時、やはり選ばれる確率は高くなります。
それは、強者の持つブランド力や認知度、安心感・信頼感・商品ライン・アイテム数などが理由として挙げられます。

例えば、皆さんがモノを購入する際、良くわからないブランドと誰もが知るブランドが
有った場合、やはりよく知るブランドを購入されることの方が多いのではないでしょうか?
企業間においても同様のことが言えます。
例えば、あなたがあるプロジェクトで取引先の選定や物を仕入れることなどを任された際、その選定にあたって、まずはある程度名が知られている先を選ぶことが多いのではないでしょうか?
また、何故そこに決めたかを上司に問われた際も、やはり認知度のある企業であれば、理由として納得感を得られやすいといったメリットも心理的に作用するかと思います。
このように、確率戦というのは、強者にとっては都合がよいフィールドと言えるわけです。

<視点その3>「遠隔戦」

弱者の「接近戦」に対し、強者は「遠隔戦」を展開させます。
「遠隔戦」とは、卸や代理店、ディーラーなどをフル活用し、間接販売によって攻撃量(販売網)を増やしていく戦い方です。
先ほどの確率戦でも触れましたが、強者は認知度・ブランド力など、ビジネスにおける様々なアドバンテージがあります。
したがって、売る側にとっても非常に売りやすいということは否定できません。
場合によっては、ほっといても売れてしまうといった状況もあるわけですね。
したがって、間接販売という手法は、非常にマッチする売り方となるわけです。

かつての松下電器の戦略は、全国に松下系列の家電店(販売店)を網羅し、揺るぎない販売網を確立しました。フルに遠隔戦を活用した事例といえるでしょう。

一方、弱者の商材はその逆となりますので、やはり売る側にとっても認知度やブランド力のない弱者の商品は売り辛いということになってしまうわけです。

また、もう1つ遠隔戦としてメディアから間接的に取り上げられるPR戦略も挙げられます。
PR戦略も実は広告宣伝同様、費用を掛け意図的にニュースソースを発信し、メディアに取り上げてもらうというのが常套手段です。
これもやはり情報発信力や資金面から観ると強者が有利ではあります。
強者であれば、広報・PR戦略を上手く活用し、露出度を上げていくことも戦略の1つとして心掛けていきましょう。

但し、PR戦略は、やり方次第で弱者にとっても武器となります。
弱者の場合は、こちらも接近戦で挑むことです。
メディアの担当者などに直接アプローチし、関係づくりを図っていけば、そのメディアへの掲載確率は高まります。やり方次第と申しましたが、この辺りは是非色々研究して頂きたいところです。

<視点その4>「物量戦」(総合戦)

「物量戦」とは、圧倒的な数と量で市場を制する戦い方です。
商品の大量流通、広告宣伝の大量投下、商品カテゴリー、ブランド数などのラインナップ力が挙げられます。
強者は、一点集中する必要がありませんので、むしろ総合戦・物量戦を仕掛けていくことが可能となります。
トヨタ自動のフルラインナップ戦略やコカコーラの自販機なども物量戦といえるでしょう。
ちなみに、皆さんも身近なコンビニやスーパーなどの店内を意識して見て頂けると実感されるかと思います。やはり、そのカテゴリーの棚を占拠しているのは、強者といわれる企業の商品が中心といえますので・・・。

<視点その5>「誘導戦」

強者の「誘導戦」とは、自分の土俵に弱者を誘い込み、潰してしまう戦い方です。
よくみられる例としては、「価格」における誘導戦が挙げられます。
強者は、時として低価格競争を仕掛ける場合が有ります。

かつて、80年代後半から90年代初頭に掛け、マクドナルドは「サンキューセット」(390円のハンバーガー、ポテト、ドリンクのSサイズセット販売)というセットを大々的に販売していきました。
当時のマクドナルドは今よりも単価がかなり高かった為、これらを単品で購入すると、優に500円を超えてしまいました。
したがって、この「サンキューセット」は、非常に人気商品となったわけです。
ところが、これに対し競合チェーン店であるロッテリアが対抗する形で、「サンパチトリオ」(380円のハンバーガー、ポテト、ドリンクのSセット販売)を投入していきました。
この業界の立場からいうと、当然強者はマクドナルド。
弱者がロッテリアという図式になります。
こうなると、マクドナルドも黙っていません。今度はマクドナルドが、さらに価格を下げる形で「サブロクセット」(360円のセット販売)で迎撃していきました。
熾烈な価格競争の幕開けです。

さて、結果はどうなったか?
低価格競争は、基本的には強者ならではの戦略です。
もちろん、やり方次第で価格競争を弱者逆転の突破口とすることも不可能では有りませんが、それは稀なケースです。
やはり、最終的には体力のある強者が勝ってしまうのが世の常です。
この場合もロッテリアは次第に苦しい状況へと陥っていきます。
マクドナルドも決して楽な状況ではなかたようですが、しかし最終的に弱者の立場であるロッテリアは、疲弊していきました。
その後経営はさらに悪化、まんまと強者の誘導戦にはまってしまったというわけです。

この例からもわかるように、弱者は絶対に強者の誘導戦に乗ってはいけません。
逆に強者は、弱者を自分のフィールドに引き込んでしまうのが、勝利への近道となります。
この見極めもやはり、自社がその局面において、弱者か強者かを知ることが重要となるわけですね。

以上が、強者の個別戦略、5つの視点(5大戦法)となります。

最後に弱者・強者の5つの視点(5大戦法)についてもう一度整理しておきましょう。

1.強者の「広域戦」に対し、弱者は「局地戦」。
2.強者の「確率戦」に対し、弱者は「一騎討ち戦」。
3.強者の「遠隔戦」に対し、弱者は「接近戦」。
4.強者の「物量戦」に対し、弱者は「一点集中戦」。
5.強者の「誘導戦」に対し、弱者は「陽動戦」。


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