マーケティング企画書の書き方・構成

更新日2024/12/23  公開日  この記事を書いた人熊谷 基継
マーケティング企画書
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マーケティング企画書の書き方・構成をお伝えします。

マーケティング企画書は、特定のマーケティング活動を計画・実行する際に、その目的や戦略、施策を明確にし、関係者やチームメンバーと共有するために作成します。
具体的な目的や状況に応じて、作成のタイミングや内容が変わります。以下に、いくつかの具体例を挙げて、マーケティング企画書が作成される状況を説明します。

INDEX

マーケティング企画書はどんなときに書く?

1. 新商品・サービスの発売

新しい商品やサービスを市場に投入する際、マーケティング企画書を作成して、商品・サービスの特徴、ターゲット市場、競争優位性、販売戦略を整理し、実行プランを立てます。

具体例:

企業:ファッションブランドが新しい秋冬コレクションを発売する。
目的:新商品の認知度向上、売上達成。
内容:
市場分析:ターゲット市場(20代〜30代の都市部の若者層)を特定。
競合分析:主要競合(他のファッションブランド)を調査し、差別化ポイントを明確化。
戦略:SNSキャンペーン、インフルエンサーマーケティング、ポップアップストアの設置などを提案。
この場合、企画書は新商品のローンチに向けた具体的な戦略と実行プランを含みます。

2. 季節やイベントに合わせたプロモーションキャンペーン

特定のシーズンやイベント(例:バレンタインデー、クリスマス、セールなど)に合わせたキャンペーンを実施する際に、どのようにプロモーションを行うかをまとめるために企画書を作成します。

具体例:

企業:オンライン小売店が年末セールを実施する。
目的:セール期間中の売上を最大化し、リピーターを増加させる。
内容:
ターゲット:過去に購入履歴がある顧客、または新規顧客。
キャンペーン戦略:割引クーポン、送料無料、特定商品をセット販売。
プロモーション:メールマーケティング、SNS広告、広告バナーなどでキャンペーンを告知。
KPI設定:売上目標、クリック率、コンバージョン率。
ここでは、特定の期間に向けたマーケティング戦略を策定するため、タイムリーにマーケティング企画書が必要になります。

3. ブランド認知度の向上やイメージ戦略の構築

ブランドの認知度を高めるためや、ブランドイメージを変更・強化するためのキャンペーンや戦略を策定する際に作成します。

具体例:

企業:新たにブランドの再構築を試みる老舗の飲料メーカー。
目的:若年層のターゲットにブランドのイメージを刷新し、認知度を高める。
内容:
市場分析:若年層の消費動向やブランドイメージ調査。
キャンペーン戦略:ソーシャルメディアでのインフルエンサーとのコラボレーション、テレビCMの作成、イベントのスポンサーシップ。
デザイン・メッセージ:パッケージデザインを刷新し、エコやサステイナブルなイメージを強調。
この場合、ブランドの戦略的な再構築を進めるために、全体的な戦略、メッセージ、プロモーション手段を整理したマーケティング企画書が重要となります。

4. 市場拡大や新市場進出

自社の既存商品やサービスを新しい市場に導入する際、その戦略やリスク、ターゲット市場、販売チャネルなどを整理した企画書を作成します。

具体例:

企業:日本の化粧品メーカーが海外市場(例えば、アジア地域)に進出する。
目的:新しい市場に向けて売上拡大を目指す。
内容:
市場分析:進出先国の消費者の嗜好、文化、競争環境を調査。
製品の適応戦略:ターゲット市場に合わせた製品のカスタマイズ(例えば、色調や成分の調整)。
プロモーション戦略:現地のインフルエンサーとの提携、オンライン広告、現地の商業イベントでの展開。
新市場進出に向けての戦略や実行プランを整理したマーケティング企画書が必要です。

5. デジタルマーケティング施策の実行

デジタルマーケティングに関する施策(例:ウェブサイトのリニューアル、SEO対策、オンライン広告キャンペーンなど)を実行する際に、具体的な計画を立てるためにマーケティング企画書が作成されます。

具体例:

企業:EコマースサイトのSEO対策を強化し、検索結果での上位表示を目指す。
目的:オンライン売上を増加させる。
内容:
現状分析:現在のSEOの評価、キーワード順位の調査。
SEO戦略:競合分析に基づき、ターゲットキーワードを決定し、サイトコンテンツを最適化。
コンテンツ制作:ブログ記事や商品ページのSEO最適化、リンク構築戦略。
デジタル施策の具体的な計画とターゲット設定、KPIの設定を明確にするためにマーケティング企画書が作成されます。

6. 改善・リブランディング

既存の商品やサービスが市場で思ったように成長していない場合、問題点を分析し、改善策やリブランディング戦略を立てるためにマーケティング企画書が作成されます。

具体例:

企業:売上が低迷している中堅企業が自社の商品ラインナップを改善したい。
目的:商品改善と新しいターゲット層の開拓。
内容:
課題の分析:売上の低迷要因を特定(競合製品の強化、ターゲット層の認知度不足など)。
改善戦略:パッケージの変更、広告の再設定、価格戦略の見直し。
KPI設定:売上目標、認知度の向上など。
改善策や新たな戦略の実行プランを作成するために、企画書が必要です。

マーケティング企画書がどんな状況で必要なのかわかっていただけたかなと思います。
では、実際にマーケティング企画書はどんな内容・フレームワークで構成されているのでしょうか。
次にマーケティング企画書の構成を説明していきます。

マーケティング企画書の構成

様々な企画書フレームワークは、企画書を論理的に構築し、効果的にマーケティング戦略を立案するために活用できます。
複数のフレームワークを組み合わせて構成する方法をご紹介ていきましょう。

マーケティング企画書の構成には、様々なフレームワークが使われています。ここで紹介しているテンプレートをまるごとダウンロードするにはこちらをご覧ください。

1. 概要・目的

目的:このマーケティング企画の目的を明確にする。

– 例:「新商品Aの市場導入」「売上の10%増加」「ブランド認知度向上」など

背景:現状の市場や自社の状況を簡潔に説明。

– 例:「競争が激化している市場において、差別化が求められている」など

ターゲット市場:どの市場をターゲットにするか。

– セグメンテーション(セグメンテーションの変数)やターゲティング戦略を使う。

2. 市場分析

PEST分析(外部環境分析)

– 政治、経済、社会、技術の観点から市場を分析。

SWOT分析(内部・外部分析)

– 強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を整理。

競合分析(3C分析)

– 自社(Company)、競合(Competitor)、顧客(Customer)の観点から競争環境を分析。

3. 問題・課題の特定

イシューツリー

課題の本質を掘り下げるために、課題をツリー構造で整理。

なぜなぜ分析(5回の「なぜ?」を使って原因を特定)

– 課題の根本的な原因を明確にする。

4. 戦略立案

STP分析

セグメンテーション

ターゲット市場の細分化

ターゲティング

ターゲットとなる市場セグメントを選定

ポジショニング

市場での自社の位置づけ

4P分析(製品戦略、価格戦略、流通戦略、プロモーション戦略)

– 製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の各要素に基づいて戦略を立案。

アンゾフのマトリクス

– 市場浸透、市場開拓、新製品開発、多角化などの戦略オプションを検討。

5. 施策・アクションプラン

アクションプラン

具体的な施策やアクションを詳細に定義。
– 例:「SNSキャンペーン実施」「インフルエンサーマーケティング」「ウェブ広告出稿」など

タイムライン

各施策の実施スケジュールを作成。

6. 予算・リソース

ROI(投資対効果)分析

– 施策のコストに対する期待される利益を計算し、予算の配分を決定。

QCD分析(Quality, Cost, Delivery)

– 施策の品質、コスト、納期に関する管理。

7. 成果測定・評価

KPIツリー(Key Performance Indicator)

– 主要なパフォーマンス指標を設定し、どの指標がどのように成果を示すのかを整理。

バランスト・スコアカード(BSC)

– 財務、顧客、業務プロセス、学習と成長という4つの視点から、目標達成度を評価。

8. リスク管理

リスクマトリクス

– 施策実行におけるリスクの識別とその管理方法を定義。

トレンド分析

– 市場や業界の動向をもとに、リスクの予測と対策を講じる。

9. まとめ・次のステップ

次のアクション:実行すべき次のステップを整理。
課題の整理:実行後の課題や改善点を整理し、次回の改善点に結びつける。

フレームワークの利用方法

「PEST分析」や「SWOT分析」などを最初に行うことで、市場や競争環境を理解し、戦略立案の基礎を作ります。
「STP分析」と「4P分析」を活用して、ターゲット市場の選定やポジショニングを明確にします。
「KPIツリー」や「BSC」などの指標設定により、施策の進捗と成果を定期的に確認し、改善を行う仕組みを整えます。
「QCD分析」を通じて予算配分やリソース管理を行い、実行可能な計画を策定します。

この構成により、マーケティング企画書は、戦略的に論理的なフレームワークに基づき、実行可能なアクションを盛り込んだ内容となります。

マーケティング企画書の構成に必要なテンプレートをまるごとダウンロードするにはこちらをご覧ください。

この記事を書いた人

この記事を書いた人イラスト
熊谷 基継

ITコンサルタント マーケティングエンジニア デザイナー
ISP企業、おでん屋、企画・マーケティング企業を経て独立。サラリーマン時代に企画書の書き方やアイデアの出し方がわからなかったので、同じようなビジネスパーソンのために企画書のフレームワーク・テンプレートサイトを起ち上げる。現在はMA/マーケティングオートメーションを使ったWEBコンサルティングをはじめ、WEB/アプリのデザイン・開発、子供向けのプログラミング教材開発に従事。

著書
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思考につかえるフレームワーク

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マトリクス思考
仮説思考(論理展開・営業トーク・プレゼン)

企画アイデア発想からマーケティングプロセスまでのフレームワーク

企画・アイデア発想
1つのアイデア・キーワードからアイデアを広げる
あるものの要素からアイデアを列挙していく
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マーケティング施策
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