プロジェクト企画書の書き方・構成

更新日2024/12/23  公開日  この記事を書いた人熊谷 基継
プロジェクト企画書の書き方・構成
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プロジェクト企画書は、特定のプロジェクト(新製品開発、システム導入など)の実行を計画し、必要なリソース、スケジュール、リスク管理などを明確にするための文書です。以下に提案する構成は、プロジェクトの全体像を把握し、関係者が理解しやすく、進行管理しやすいように整理された内容になります。

プロジェクト企画書は、特定のプロジェクトを進行するために必要な計画を文書化するもので、以下のようなタイミングや状況で作成されます。

INDEX

プロジェクト企画書はどんなときに書く?

1. 新しいプロジェクトの立ち上げ時

1.1 新規事業やサービスの導入

新しい事業やサービスを市場に導入するための計画を立てる際にプロジェクト企画書が必要です。具体的な目的、手順、リソースの割り当てなどを明文化します。

1.2 新製品開発

新しい製品の開発を始める際に、開発の進行管理やマーケティング活動、販売戦略を計画するための企画書です。

2. 組織のリソースが必要な時

2.1 部門間でのリソース調整

複数の部門が関わるプロジェクトの場合、各部門のリソースや役割を調整するために企画書を作成します。

2.2 外部パートナーとの連携

外部企業や専門家とのコラボレーションが必要な場合、双方の責任範囲やスケジュール、報酬などを明確にするために企画書が必要です。

3. 予算や時間が制約となる場合

3.1 プロジェクトの予算策定

限られた予算内でプロジェクトを進行するための計画を立て、資金の使い道を明確にする必要がある時。

3.2 時間管理とスケジュール作成

プロジェクトが期限付きで進行する場合、そのスケジュールを詳細に計画し、進行状況を追跡するためのツールや手法を設計する時。

4. リスクが伴うプロジェクトの進行時

4.1 複雑なプロジェクトにおけるリスク管理

リスクが高いプロジェクト(技術的な課題や規制問題など)において、そのリスクを最小限に抑えるための計画を立てる時。

4.2 新しい市場や未開拓分野への進出

新しい市場や未開拓分野に進出する場合、その可能性やリスクを評価し、必要な対応策を講じるための企画書が求められます。

5. 企業戦略に基づいたプロジェクトの推進時

5.1 企業の戦略目標達成

企業の長期的な戦略目標に基づいたプロジェクト(例:グローバル展開、製品の多様化)を進行するために、詳細な計画を作成する際に企画書が必要です。

5.2 経営陣への提案

経営陣に対して新しいプロジェクトを提案する際に、その意義や進行方法、予算などをまとめて提出するための企画書。

6. プロジェクトの進捗管理や改善が必要な時

6.1 プロジェクトの修正・改善が必要

進行中のプロジェクトで問題が発生した場合、進行状況を見直し、改善策を講じるために新たな企画書を作成することがあります。

6.2 結果報告と次のステップの計画

プロジェクトが終了した際、その成果を評価し、次に進むための戦略や改善点をまとめるための企画書。

7. プロジェクトの外部コミュニケーションが必要な時

7.1 クライアントやステークホルダーへの報告

プロジェクトの状況をクライアントや外部ステークホルダーに報告するために、その進捗、成果、問題点を整理した企画書が必要です。

7.2 マーケティング・PR戦略のため

プロジェクトを広報活動の一環として発信する場合、その内容や進行状況を外部に伝えるために企画書が役立ちます。

プロジェクト企画書の構成

プロジェクト企画書は、プロジェクトの開始時、進行中、終了後など様々なタイミングで作成されます。目的に応じて適切なタイミングで作成することが、プロジェクトの成功に向けて重要です。

1. プロジェクト概要

1.1 プロジェクトの目的

プロジェクトを実施する理由と背景(市場のニーズ、企業戦略との関連性など)
目指す成果(プロジェクトが達成すべき具体的な成果)

5W1H

プロジェクトの目的を具体的に整理するために「誰が」「何を」「なぜ」「どこで」「いつ」「どのように」といった視点で明確にする。

ロジックツリー

プロジェクトの目的とそれに基づく成果を階層的に整理し、目的達成に向けた論理的な構造を作る。

1.2 プロジェクトの範囲

プロジェクトの範囲を定義(新製品開発、システム導入、サービス改善など)
主要なアウトプットや成果物

スコープ管理マトリックス

プロジェクトの範囲を定義するために、含まれる項目(イン、アウト)を明確にリストアップ。

WBS(Work Breakdown Structure)

プロジェクトの作業を階層的に分解し、どこまでが範囲内かを詳細に確認。

1.3 プロジェクトの目標

SMART目標の設定(具体的、測定可能、達成可能、関連性、期限付き)
成果物の品質基準や達成基準

SMART目標

目標が具体的、測定可能、達成可能、関連性があり、期限が明確であるかを確認。

OKR(Objectives and Key Results)

目標と成果を設定し、進捗管理や成果の測定に使う。

2. プロジェクト背景と現状分析

2.1 現状の問題・課題

現在抱えている問題や改善点
課題解決の必要性(市場動向、技術の進化、競合状況など)

SWOT分析

現状の強み、弱み、機会、脅威を整理し、プロジェクトが解決すべき課題を明確化。

フィッシュボーンダイアグラム(特性要因図)

問題の根本原因を特定するために、主要な要因を視覚的に整理。

2.2 関連データと調査結果

市場調査や競合分析、過去のデータを基にした分析結果

SWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)

PEST分析

政治的、経済的、社会的、技術的な要因を分析し、外部環境がプロジェクトに与える影響を評価。

競合分析

競合他社の状況を調べ、プロジェクトにおける市場の位置づけや差別化ポイントを確認。

3. プロジェクト戦略

3.1 実施戦略(戦略的アプローチ)

プロジェクトを進めるための主要戦略
競争優位性や差別化ポイント

3C分析

市場、顧客、競合を分析し、プロジェクトがどのような戦略で進めるべきかを明確化。

アンゾフのマトリクス

市場浸透、新製品開発、市場開拓、多角化の戦略から最適なアプローチを選定。

3.2 リソース戦略

プロジェクトに必要な人材、予算、技術、設備などのリソース
主要なステークホルダー(チームメンバー、外部パートナー)

リソースベースドビュー(RBV)

自社の強み(リソースや能力)を活用して、どのリソースをどのように活用するかを戦略的に検討。

VRIO分析

リソースや能力が競争優位性を提供するかを評価し、どのリソースが最も重要かを特定。

4. プロジェクト計画

4.1 スケジュール

プロジェクト全体のタイムライン
主要なマイルストーン(開始日、主要な中間成果物、完了予定日)

ガントチャート

プロジェクトのスケジュールを視覚的に示し、各タスクの期間と進捗を管理。

クリティカルパス法(CPM)

プロジェクトの重要なタスク(クリティカルパス)を特定し、最短で完了するための計画を立てる。

4.2 アクションプラン

各フェーズ(要件定義、設計、実装、テスト、評価など)の具体的なアクション項目
タスクの詳細と担当者

ロジックツリー

目標を達成するための具体的なアクションを階層的に整理。

PDCAサイクル

計画(Plan)、実行(Do)、確認(Check)、改善(Act)のサイクルを回して、アクションプランを継続的に改善。

4.3 リソース配分

各リソース(人的、物的、財務的)の配分方法
リソース管理の方針

7Sフレームワーク

組織の戦略、構造、システム、人材、共有価値観、スタイル、スキルを調整し、リソース配分を最適化。

マトリックス管理法

複数のリソースを管理するために、タスクごとに必要なリソースとその担当者を整理。

5. リスク管理

5.1 リスクの特定

プロジェクトにおける潜在的なリスクの洗い出し
外部環境、内部環境、技術的リスクなど

イシューツリー

リスクを因果関係で整理し、どのリスクが最も重大かを特定。

FMEA(故障モード影響分析)

リスクがどのようにプロジェクトに影響を及ぼすかを詳細に分析。

5.2 リスク評価と優先順位

リスクの影響度と発生確率に基づく評価
高リスク項目の優先順位付け

インパクト・エフォートマトリクス

リスクの影響度と発生確率を評価し、優先順位を決定。

リスクマトリックス

リスクを発生確率と影響度でマッピングし、リスク対応の優先度を決定。

5.3 リスク対策

リスク発生時の対策(回避策、軽減策、対応策)
予備策や代替案

リスク対応計画

各リスクに対する対応策(回避、軽減、移転、受容)を立案。

4T戦略

リスクに対する4つの戦略(Transfer、Tolerate、Treat、Terminate)を活用。

6. ステークホルダー管理

6.1 ステークホルダーの特定

プロジェクトに関与するすべてのステークホルダー(内部、外部)
それぞれの期待や影響度の把握

ステークホルダー分析マトリックス

ステークホルダーの影響度と関心度を評価し、プロジェクトに対する優先度を決定。

Mendelowのマトリックス

ステークホルダーを影響力と関心度で分類し、戦略的アプローチを決定。

6.2 ステークホルダーとのコミュニケーション戦略

情報共有の方法(報告書、会議、進捗管理ツールなど)
コミュニケーションの頻度や形式

RACIチャート

プロジェクトの各タスクにおける責任、承認、協力、情報提供の役割を明確化。

コミュニケーションプラン

ステークホルダーごとの情報共有方法(形式、頻度、手段)を定義。

7. 予算管理

7.1 予算の概要

プロジェクトに必要な全体予算
資金の配分(人件費、設備投資、外部委託費用など)

ABC分析

予算をカテゴリごとに分類し、最も重要な項目にリソースを集中させる。

コスト管理マトリックス

各リソースや活動に対して必要なコストを明確化。

7.2 予算管理の方法

予算超過を防ぐための監視方法
支出の追跡と調整のプロセス

ベースライン予算

初期予算を設定し、その後の進捗に対するコストの監視と調整。

EV(Earned Value)管理

予算と実績を照らし合わせて、進捗状況や問題を把握。

8. 成果測定と評価

8.1 成果の測定基準

プロジェクトの成果を評価するためのKPIや指標
成果物の評価基準(品質、納期、コストなど)

KPI(Key Performance Indicators)

プロジェクトの成功を測るための重要業績評価指標を設定。

OKR

プロジェクトの成果を測るための目標(Objectives)と結果(Key Results)を定義。

8.2 終了後の評価プロセス

プロジェクト完了後のレビュー方法
改善点や学びの抽出

ポストモーテム分析

プロジェクト終了後に、何がうまくいったか、どこが問題だったかを評価し、学びを抽出。

フィードバックループ

プロジェクトの結果を元に、次のプロジェクトや運用に反映できる改善点を抽出。

9. まとめと次のステップ

9.1 プロジェクトの最終目的

プロジェクトが達成するべき最終的な成果とその意義

ロードマップ

プロジェクトの目的達成までの道筋を示し、次のステップに向けたビジョンを描く。

9.2 次のステップ

プロジェクト終了後のフォローアップや次の活動(後続のプロジェクト、運用フェーズへの移行)

ガントチャート

次のステップとして必要なタスクを具体的に示し、進行を監視。

PDCAサイクル

次のフェーズに向けた改善策を設定し、実行計画を立案。

この構成は、プロジェクトの目標設定から計画実行、リスク管理、予算や成果の測定に至るまで、重要な要素を網羅しています。また、プロジェクトに関わるすべてのステークホルダーが理解しやすく、効率的に進行できるように設計されています。

これらのフレームワークをプロジェクト企画書の各項目に適用することで、より具体的で実行可能な計画が立てられます。また、進捗の管理やリスク対策がしっかりと行えるようになるため、プロジェクトの成功に繋がります。

この記事を書いた人

この記事を書いた人イラスト
熊谷 基継

ITコンサルタント マーケティングエンジニア デザイナー
ISP企業、おでん屋、企画・マーケティング企業を経て独立。サラリーマン時代に企画書の書き方やアイデアの出し方がわからなかったので、同じようなビジネスパーソンのために企画書のフレームワーク・テンプレートサイトを起ち上げる。現在はMA/マーケティングオートメーションを使ったWEBコンサルティングをはじめ、WEB/アプリのデザイン・開発、子供向けのプログラミング教材開発に従事。

著書
このサイトでは企画書を書くためのテンプレート・フレームワークを数多く紹介しています。
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思考につかえるフレームワーク

何にでも使える基本フレームワーク
マトリクス思考
仮説思考(論理展開・営業トーク・プレゼン)

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企画・アイデア発想
1つのアイデア・キーワードからアイデアを広げる
あるものの要素からアイデアを列挙していく
現状・事実・仮定から考えてアイデアを出す
マーケティング施策
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価格・市場などの要素で考える
マーケティング施策の目標設定

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