企画書

事業戦略企画書の書き方・構成

更新日2024/12/23 公開日2024/12/08 この記事を書いた人熊谷基継

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事業戦略企画書は企業が長期的に成長し、競争優位性を確立するために必要な計画を示す文書です。市場分析、競合分析、戦略的目標、実行計画などが含まれ、企業の未来の方向性を決定するために重要です。

INDEX

1 どんなときに事業戦略企画書を書く？
- 1.1 事業戦略企画書を作成するタイミング
2 事業戦略企画書の構成
3 4. 競合分析
4 5. 戦略的目標
5 6. 戦略の立案
6 7. 実行計画とモニタリング
7 8. 結論と次のステップ
- 7.1 8.1 戦略の要約
- 7.2 8.2 次のステップ

どんなときに事業戦略企画書を書く？

事業戦略企画書を作成するタイミング

1. 新規事業の立ち上げ

新たに市場に参入する際に、競争優位性を確立するための戦略を明確にする必要がある。

2.既存事業の成長戦略の再構築

現行の事業が停滞している場合や、競争環境が変化した場合、戦略を見直して競争優位性を維持または向上させるために必要。

3.M&Aやアライアンスの際の戦略立案

企業買収や提携を検討する際に、新たな競争戦略を構築するための指針となる。

4.マーケットシェアの拡大を狙う場合

競争が激化する市場でシェアを拡大するために、どの市場セグメントを狙うか、どのような戦略を採用するかを決定する際。

事業戦略企画書の構成

1. 表紙

1.1 提案書のタイトル

事業戦略企画書のタイトルを記載します。
例：「【企業名】事業戦略企画書」

1.2 提案日・作成者情報

企画書の作成日、作成者、連絡先などを記載します。

2. 概要・目的

2.1 目的の明確化

事業戦略企画書の目的を簡潔に示します。具体的には、「企業の長期的な成長を実現するための戦略の確立」や「競争優位性の確立を目指す」などです。

2.2 企画書の位置づけ

この企画書がどのような意思決定や行動を導くものなのかを説明します。例えば、経営層への提案や新規事業立ち上げのための基盤として機能することを明確にします。

3. 市場分析

3.1 市場環境の現状

PEST分析を用いて、政治的、経済的、社会的、技術的要因を踏まえた市場環境を整理します。

「PEST分析」
PEST分析とは外部（マクロ）環境分析を行う時に使う分析手法です。アメリカの経済学者フィリップ・コトラーが提唱しているものです。 PESTとは次の４つの頭文字をとったものです　P：Politics　政治　E:Economy　経済　S:Society　社会　T:Technology　技術
「PEST分析」の解説・テンプレートダウンロードはこちら

3.2 市場の成長性とトレンド

市場が今後どのように成長していくか、主要なトレンドは何かを分析します。トレンド分析やPEST分析を使って、外部環境の動向を捉えます。

「トレンド分析」
「トレンド分析」とは、自社の売上・購買データ、検索やSNSなどのデータから市場・顧客のトレンドを分析するフレームワークです。
「トレンド分析」の解説・テンプレートダウンロードはこちら

3.3 顧客セグメントとニーズ

市場内でどの顧客セグメントがターゲットとなるのか、またそのニーズがどのように変化しているのかを分析します。セグメンテーション分析や3C分析が有効です。

「セグメンテーションの変数」
「セグメンテーションの変数」とは、マーケティング戦略を立てる上で必要なセグメンテーションをするときに検討すべき指標になります。
「セグメンテーションの変数」の解説・テンプレートダウンロードはこちら

「3C分析」
３C分析は、マーケティング戦略を考える上で環境分析をするためのフレームワークです。 Customer：顧客・市場、Competitor：競合、Company：自社　の３点について分析をすることから、この３つの頭文字をとって３C分析と呼ばれています。
「3C分析」の解説・テンプレートダウンロードはこちら

4. 競合分析

4.1 競合環境の分析

主要な競合企業をリストアップし、それぞれの強み・弱みを分析します。SWOT分析やファイブフォース分析を用いて、競争環境を評価します。

「SWOT分析」
SWOT分析とは、主に自社の経営・事業戦略を立てる時に使うフレームワークです。SWOT分析のテンプレートはこちらからダウンロードできます。 S；Strength　自社の強み　W；Weakness　自社の弱み　O；Opportunity　機会　T:Threat　脅威　SとWは自社分析、つまり内部環境分析で、OとTは自社外の分析、つまり外部環境分析をすることになります。
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「ファイブフォース」
「ファイブフォース」はマーケティング戦略をたてるときの「調査・分析」フェーズで使うフレームワークです。外部環境分析における、ミクロ環境分析に使われることが多く、主に業界分析をするフレームワークになります。
「ファイブフォース」の解説・テンプレートダウンロードはこちら

4.2 自社の競争優位性

自社の強みや他社との差別化要因を明確にします。VRIO分析を使って、自社が持つリソースや能力の競争優位性を評価します。

「VRIO分析」
「VRIO分析」とは、「Value 価値」、「Rarity 希少性」、「Inmmitability 模倣困難性」、「Organization 組織」の４つの頭文字をとった分析フレームワークです。上記４つについて自社のどこに価値・差別化ポイントがあるのかを整理・分析するときに使います。
「VRIO分析」の解説・テンプレートダウンロードはこちら

4.3 競合戦略の把握

競合企業が採っている戦略や手法（例えば、低価格戦略、差別化戦略など）を分析し、自社にとって有利な戦略は何かを検討します。

5. 戦略的目標

5.1 長期的な戦略目標

企業が今後数年間で達成すべき具体的な目標（売上、利益、シェアなど）を設定します。目標はSMART（具体的、測定可能、達成可能、関連性があり、期限を設定した）基準に従って明確にします。

5.2 中期的な戦略目標

5年以内に達成すべき目標を設定し、実現に向けたステップを明確にします。具体的なターゲット市場や製品戦略を示します。

5.3 短期的な戦略目標

1～2年で実現可能な目標やアクションプランを示します。

6. 戦略の立案

6.1 戦略の枠組み

アンゾフのマトリクスを使用して、現状の事業に対してどのような戦略を取るべきか（市場浸透戦略、新規市場戦略、製品開発戦略、多角化戦略）を決定します。

「アンゾフのマトリクス」
「アンゾフのマトリクス」とは自社の経営戦略を検討するときに使うフレームワークです。マトリクス分析なので、縦軸に「市場（既存と新規）」、横軸に「製品（既存と新規）」を設定して、次の４つの枠に自社の商品やサービスをどうもっていくか（開発するか）を検討します。
「アンゾフのマトリクス」の解説・テンプレートダウンロードはこちら

6.2 競争戦略の選定

競争地位戦略を使い、リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーとしてどの立場を取るべきかを示します。

「競争地位戦略」
「競争地位戦略」とは、フィリップコトラー氏が考案した、ポジショニングのフレームワークです。 STP分析の最後、ポジショニングで使えるフレームワークになります。以下４つにわけられ、自社の経営資源の質と量によって、どこにあてはまるのかを分析し、今後のポジショニング戦略を考えるのに役立ちます。
「競争地位戦略」の解説・テンプレートダウンロードはこちら

6.3 戦略実行のためのリソース配置

実行に必要なリソース（人的、物的、資金）や、実行する際の優先順位を示します。7Sフレームワークを用いて、組織の構造、戦略、システムなどを整備する計画を立てます。

「7S」
「7S」は、マネジメントコンサルティング企業であるマッキンゼーが提唱した、組織を分析するためのフレームワークです。7つの要素が相互に影響し合い、組織の健全性やパフォーマンスに影響を与えるとされています。
「7S」の解説・テンプレートダウンロードはこちら

7. 実行計画とモニタリング

7.1 実行のためのアクションプラン

戦略を実行するための具体的なアクションプランを策定し、ステップごとに必要な活動を明示します。PDCAサイクルを活用して、実行段階での反復的改善を組み込みます。

「PDCA」
「PDCAサイクル」は、継続的な業務改善を維持するための手法の1つです。PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の頭文字を取ったものです。
「PDCA」の解説・テンプレートダウンロードはこちら

7.2 KPI（重要業績評価指標）の設定

戦略の進捗を測るために、どのKPIを設定するかを示します。売上成長率、利益率、顧客満足度などが含まれます。

「KGI KSF KPIツリー」
「KGI KSF KPIツリー」は、マーケティング戦略のフレームワークの一つで、戦略目標(KGI)、成功要因(KSF)、重要業績評価指標(KPI)を整理して、戦略の実現に必要な要素を可視化するために使用されます。
「KGI KSF KPIツリー」の解説・テンプレートダウンロードはこちら

7.3 リスク管理

戦略実行中に想定されるリスクや障害を洗い出し、対策を講じるための計画を立てます。リスクマトリックスやSWOT分析を活用して、リスクの影響度や発生確率を評価します。

8. 結論と次のステップ

8.1 戦略の要約

提案した戦略を簡潔に要約し、戦略の実行に向けた強い意志を示します。

8.2 次のステップ

戦略実行に向けた次のアクションを示します。例えば、経営陣との最終確認、実行計画の詳細化、部署ごとの担当者決定などが挙げられます。

フレームワークの活用例：
PEST分析：市場環境の変化を把握するために活用

SWOT分析：自社の競争優位性を明確にし、リソースをどのように活用するかを決定

ファイブフォース分析：競争環境を分析して、業界内での競争要因を明確にする

アンゾフのマトリクス：成長戦略を策定する際に、リスクとリターンを評価

7Sフレームワーク：戦略の実行に必要な組織構造やシステムを整備

このような企画書フレームワークを活用することで、事業戦略企画書は論理的で説得力のあるものとなり、企業の長期的な成長に貢献します。

この記事を書いた人

熊谷基継

ITコンサルタント　マーケティングエンジニア　デザイナー
ISP企業、おでん屋、企画・マーケティング企業を経て独立。サラリーマン時代に企画書の書き方やアイデアの出し方がわからなかったので、同じようなビジネスパーソンのために企画書のフレームワーク・テンプレートサイトを起ち上げる。現在はMA/マーケティングオートメーションを使ったWEBコンサルティングをはじめ、WEB/アプリのデザイン・開発、子供向けのプログラミング教材開発に従事。